危急時遺言(緊急時の遺言)
緊急時にのみ使用される危急時遺言という方式があります。
(一般臨終遺言、死亡危急者遺言とも言います。)
病気の急激な悪化や事故 などで緊急事態となり、すぐに遺言書を作成しないと生命が失われてしまうと思われる場合などの緊急事の遺言書形式です。
この危急時遺言は、家庭裁判所の担当官が年に1~2件あるかどうかということで慎重な取り扱いを行うというほど、ほとんど使用事例の無い難しい形式です。
一般危急時遺言作成の流れ
注意点
遺言状作成準備(ご依頼者様)
①遺言者の容態が『危急時』にあたるかどうか担当医に確認
②病院に危急時遺言の作成を行う旨を報告
③危急時遺言作成者(例:当事務所)に連絡(100%受任できるかどうかは保証致しかねます)
④身内、利害関係者以外の証人3名を確保(当事務所にて手配できる場合もあります:日当は60,000円/1名)
⑤個室など遺言状作成のできる場所を確保
危急時遺言作成手順
①証人3名立会のもとで遺言者が証人のうちの1名に対して、遺言の趣旨を自分の言葉で話し、その内容を証人に言葉通り記憶させる。
②遺言者の発言を受けた者がその内容を筆記。
③筆記した内容を遺言者及び証人に読み聞かせる等して内容に誤りがないことを確認。
④証人3名が署名捺印。
確認審判の申立
遺言の日から20日以内に家庭裁判所に対して証人の1人又は利害関係者から申し立てを行います。
遺言者が申立前、申立中、もしくは申立後であっても状況によって、証人3人が、口裏を合わせないよう別々に家庭裁判所に呼ばれ、調査官から、遺言時の状況などについて詳細な聞き取り調査を行われます。
その他注意事項
- 遺言者の容態が回復し、普通の方式で遺言ができるようになった時から6ヶ月間生存していた場合には、危急時遺言はその効力を失います。
- 状況により当事務所で100%受任できると保証はできません。
- 緊急時だからこそ容態や意思の確認は丁寧に行ってください。危急時遺言を作成するだけの緊急性が無いと裁判所に判断されると遺言書が無効になります。
- できるだけ担当医の判断を貰ってください。また、遺言者がただうなずくだけで全く口がきけない状態などの場合、当事務所では危急時遺言作成を受任できません。
- 危急時から脱する見込みがある場合は公正証書に移行します。
- 遺言者の意思をそのまま正確に記載します。相続人のご意向とは異なった内容になる場合もありますので予めご了承ください。
- 利害関係者ではない3人を証人として集める必要があります。 身内の人間が証人になることは出来ないので病院の職員に依頼するなどの手配が必要です。
- 危急時遺言作成時には裁判所に提出する証拠を確保するためビデオ撮影や録音が必要になる場合があります。
- 遺言の内容が周囲に聞かれるのを避け、遺言者の意向を正確に聞き取り記載できるよう、できるだけ個室を確保してもらってください。