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横須賀おまかせ相続・家族信託

幸せな老後と家族関係を作り出す遺言状生涯安心して快適に過ごせる、家族に不満を残さない遺言状

  1. 本当に役に立つ遺言状とは何か
  2. 法律上の効果と本当の効果
  3. 本当に役に立つ遺言状の作り方
  4. 遺言状の作り方①まず現状を洗い出す
  5. 遺言状の作り方②寝たきりや認知症になった時のことを考える
  6. 遺言状の作り方③具体的に遺産分割の方法を決める
  7. 遺言状の作り方④財産以外の部分
  8. まとめ

本当に役に立つ遺言状とは何か

 遺言状を残す理由を尋ねると、多くの人は、残された遺族が揉めないようにと答えます。

しかし、遺言状の本当の役割は
①ご自身や配偶者の方が年老いて身体が弱っても、亡くなるまで安心して快適に生きるための環境を作る。
②ご自身の老後にも、亡くなられた後も、家族に不満を残さず納得させる。

の2つです。

遺言状の大事な役割

①ご自身が年老いても生涯安心で快適に生きるための役に立つ
(周囲に大事にしてもらい悲惨な思いをしない)
②配偶者の方についても同様に死ぬまで安心して快適に生きるための役に立つ
③面倒を見てくれる家族に余計な負担をかけず不満な気持ちにさせないための役に立つ
(程度の差こそあれ、人は老いれば必ず誰かに面倒を見てもらい、負担をかけます)
④ご自身が生きている間も亡くなられた後も、家族に不満、不和、不信を生まないための役に立つ

法律上の効力と本当の効力

あたりまえのことですが、遺言状というものは、法律上では、本人が無くなってから効力を発揮します。
しかし実際には、本人が生きているうちから法律以外の部分で大事な役割を果たすもので、それが先ほど挙げた【遺言状の大事な役割】です。

遺言状は、人生の後半(身体が弱る、身体が不自由になる)から終盤(ベッドで介護を受ける、認知症になる)の生活設計と一体で考えるものです。

遺言状を作成しようと思ったときには、是非、ご自身や配偶者の方が弱った時に、どうすれば快適に安心して暮らせるかという事を一緒に考えるようにしてください。

そして、年齢と共に衰え、身心が弱った時には、多少なり家族や周囲の方のお世話にならざるを得ないものですから、ご自身を大切にしてくれる方のことを大切にするという意識を持つようにしてください。

身体が衰えたときに幸せでいられるかどうかは、人に大切にしてもらえるかどうかに大きく左右されます。
そして、人は、必ず自分を大切にしてくれた人の事を大切に思うものです。
自分がお世話になる方のことを粗末に考えれば、当然、ご自分も粗末に扱われて辛い思いをしなくてはならないのですから、遺言も、ご自身を支えてくれる人のことを考えた内容にするべきです。

それが「本当に役に立つ遺言状の持つ性質」なのです。

本当に役に立つ遺言状の持つ性質

①人生の後半から終盤の生活設計と一体となったものである
②ご自身が亡くなられた後の家族の幸せに深く大きな影響を持つ
③生きているうちから目に見えない形で本人と家族の人生に大きな影響を及ぼす

本当に役に立つ遺言状の作り方

遺言状作成の際に、大きな柱となってくるのが「財産の残し方」です。

遺言状に書くことは、大きく2つに分かれます。
「財産に関すること」「財産以外のこと」です。

財産は、どう残すか以前に、どう遣うかを考えてから遺言状に反映させると良いでしょう。
財産をどう遣うかというのは、どう生きるかということに直結します。 また、どう遣うかというのは元気なうちの話ではなく衰えたときのことであるというのを覚えておきましょう。

身体の変化:①身体が弱る⇒②身体が不自由になる⇒③寝たきりになる
頭の変化:認知症

これらの時期には必ず誰かの世話にならなければならないので、財産を残す際には、誰にどの程度世話になるのかを必ず意識することが重要です。

【余談】
昔の家督相続では、財産は全て長男が受け継ぎ、その代わり親の面倒も全て長男(実際には長男の嫁)が見ていました。
良し悪しの議論はあっても親の面倒=世話(負担)と遺産相続(報酬)がリンクしていました。(ある意味公平で子供たち納得がしやすかった点もあるでしょう)

ところが、現代では大きく変わりました。

1.親の世話と面倒(負担)と遺産相続(報酬)が全くリンクしないため不公平が生じる
2.子供たちが納得できない相続が数多く発生する
3.介護保険や福祉環境の充実で、子供たちの負担を大幅に軽減することが可能になった

昔は長子相続、家督相続だったので遺言状が無くても良かったのですが、現代は遺言制度が不完全なので、遺言状は『絶対に必要』『あったほうが良い』という意識ではなくなってしまいました。

しかし、率直に言って遺言状を残さないのは、老後を子供や社会に丸投げして、果たすべき責任を果たさないというのと一緒だと私は思います。
誰にどの位財産を残すか(報酬)は、誰にどの位面倒を見てもらうか(負担)とリンクするからです。

十分な財産が無く、限られた財産であったとしても、子供はその『気持ち』を受け取り納得するでしょう。
そうでなければ不公平、必ず不満が残ります。

面倒を見てもらうといっても、介護保険もありますので、できるだけ無駄な負担を減らした方がお互いにハッピーですよね。
それでも一定の責任や面倒はかかります。負担や責任がゼロということはあり得ません。

親孝行は取引ではありませんが、お互い大人同士であれば、責任や負担に対して報酬(気持ちを形で表す)のは当然の義務なのではないかと私は思います。

遺言状の作り方①まず現状を洗い出す

それでは本題に入ります。
ご自身やご家族のために本当に役立つ遺言状を作るには

まず現状を洗い出すこと

それも、できれば元気なうちに、しっかりと時間をかけて、気持ちに余裕をもって作ると良いでしょう。
専門家の助けを得るのも良いです。一生の一大事業なので真剣に取り組むことが大事です。

最低限でも法定相続人と配偶者まで明らかにしましょう。

次に、関係性、居住地、経済状況など。これらは、よく考えれば分かるはずです。
たとえ分からなかったとしても、まずは「分からない」という事実を受け止めましょう。そこから現状どういうアクションが必要かが見えてくるからです。

次に自分の財産、居宅、資産、年金、健康状態、持病、収益不動産について、洗い出してみてください。

また、配偶者についても同様に、現状を明らかにします。

こうして、現状を洗い出すことで人生設計について考えるきっかけにもなります。

遺言状の作り方①現状を洗い出す

・法定相続人と配偶者を明らかにする
・関係性、居住地、経済状況など
・自分の財産、居宅、資産、年金、健康状態、持病、収益不動産
・配偶者についても同様

★できれば元気なうちに、しっかりと時間をかけて、気持ちに余裕をもって作ると良い。

遺言状の作り方②寝たきりや認知症になった時のことを考える

次に、自分と配偶者それぞれが下記のような状態になった際に、どう生きるか、誰にどの程度の面倒を見てもらえる可能性があるかを考えましょう。

①身体が弱る⇒②身体が不自由になる⇒③寝たきりになる
頭の変化:認知症

併せて、現状からみてそれぞれの場合にどういう選択肢があるかを考えましょう。
良く分からなければ、この時点でFPや専門家に相談をすることもおすすめします。

そして、可能な選択肢のうち、どの選択肢を選びたいかを考えます。
この時、良く分からなくても投げ出さないでください。(頑張って!)

考慮すべき点として、配偶者と自分の間には時間差ができることがほとんどです。その構想について、少なくとも配偶者と話し合いましょう。
そして、できれば子供さんとも話し合いを持ってください。(キーマンは必須です)

必ずしもそのとおりになるという保証はありませんが、大枠の構想に近い形で実現することが多いです。
この大枠も決めないのはあまりにも無責任なので、投げ出さずに話し合いをもってください。

そして、それを元に遺産分割の方法を決めます。

遺言状の作り方②寝たきりや認知症になった時のことを考える

・寝たきりや認知症になった時、どう生きるか、誰にどの程度の面倒を見てもらえる可能性があるかを考える
・現状からみてそれぞれの場合にどういう選択肢があるかを考える
・可能な選択肢のうち、どの選択肢を選びたいかを考える

★考慮すべき点として、配偶者と自分の間には時間差ができることがほとんど。その構想について、少なくとも配偶者と話し合う。できれば子供とも話し合う。

遺言状の作り方③具体的に遺産分割の方法を決める

遺産分割の基本になるのは
前章の人生設計
・老後の生活構想
です。

ただし、上記はうまく行かない事もあります。
その上で最善の方法をとるべきです。

また、可愛いと責任は別です。
遺産分割は「責任」の方を先に考えましょう。子供さんなどの「可愛い」気持ちは次に考慮してください。

遺産分割の方法について考えることは、まず第一に「居宅」のことです。特に体が弱った時のことを考慮して考えましょう。
次に、収益不動産について。これには管理が必要になってくるので、そのあたりについても考えると良いでしょう。
また、基本方針が決まってから遺留分についても考慮しておきましょう。
それから相続税対策を考えます。よく相続税対策が優先されますが、上記のようなことを考えれば、おのずとどちらが大切か分かります。
その他財産や、後から見つかった財産についても必ず記載しておきましょう。
尚、負債についても考えることが重要になってきます。これには生前対策を必須になってきます。

遺言状の作り方③遺産分割の方法を決める

・居宅を第一に考える(特に弱った時)
・収益不動産についても考える(管理が必要)
・基本方針が決まってから遺留分についても考慮する
・それから相続税対策を考える
・その他財産についても必ず記載しておくこと
・後から見つかった財産について
・負債について(生前対策が必須)

遺言状の作り方④財産以外の部分

さて、先に申し上げた通り、遺言状は2つに書くことが分かれており それは「財産に関すること」と「財産以外のこと」だとお話しました。

次は「財産以外のこと」を遺言状に書きましょう。

まず大事なのが「なぜそのようにするか遺産分割の方法の理由」を添えることです。

それで子供達や周りの人が納得しないようなら、基本的にその遺言は見直す余地があるということです。

この理由が納得できるようであれば、そもそも遺留分対策などしなくても揉める可能性は少ないということにもなります。

遺留分対策は法律との兼ね合いも含めて、できるだけ関係者全員が納得いくように行いましょう。
それによって家族や周囲の人に大事にされ、終生幸せに暮らせますし、家族の幸福も増大することでしょう。

また、分配の理由を書くことで、どうしてそういう分配方法にしたかということが分かるので、ある程度遺産を残される人が納得しやすいというのもあります。

さらに、関係者それぞれに対しては、気持ちの面でのフォローが必要になります。
特に法的相続人に対しては、気持ちの面でのフォローを行なっておくと、ご自身の気持ちや愛情が伝わりやすいです。

例としては「遺産は公平に分割するため不平等に分けるが、愛情に隔てはない」などと書いておくと良いでしょう。
この時、財産的価値の無い遺品についても言及しておくと良いです。 また、葬儀、供養についても決めておくのも良いです。
きちんと考えることで、誰が中心になるかが明確になるからです。

遺言状を作成する時は、残された人の気持ちになってまとめましょう。
これらは、付言事項に書くか別の手紙に書いても良いです。

遺言状の作り方④財産以外の部分

・なぜそのようにするか遺産分割の方法の理由」を添える
・関係者それぞれに対して、気持ちの面でのフォロー

※それで子供達や周りの人が納得しないようなら、基本的にその遺言は見直す余地がある。
※遺留分対策は法律との兼ね合いも含めて、できるだけ関係者全員が納得いくように行う。
※分配の理由を書くことで、ある程度遺産を残される人が納得しやすい。

まとめ

人間の場合、生きるということには2つの意味があります。
呼吸をして心臓が動いて生物的に生きているという意味と
自分で生き方を選び、生き方を決めてそれに沿って生きていくという意味です。

後者を人が見た場合に、それをその人の生き様と言います。

「生きざま」は「死にざま」です。
昔のように戦場で死ぬということはほぼありません。
若くして事故や病気で亡くなる事もありますが、多くは歳をとって衰えて亡くなります。

衰えたときに周りの人に大事にされ幸せな人生を送るのと、周りの人に邪険に扱われて辛い思いで日々を暮らすのかは、周りの人にどれだけ気遣いができて自分の責任を果たすかで大きく変わってきます。

亡くなった後の手配もそうした気配りのひとつ。

きちんとした遺言状を書くという事は、自分も一生幸せな人生を送り、周りの人たちに物質的にも精神的にも良いものを残していくということに繋がります。

きちんと責任を果たす人は、歳をとっても尊敬され、尊重されます。
逆に『気持ちのある人の善意に甘えて責任を押し付ける』という態度をとればそれは、必ず自分に跳ね返ってきます。

どうか、これを機会に、しっかり腰を据えて遺言状作りに取り組んでください。

なお、事業経営者や収益不動産を多くお持ちの方は、事業承継という課題がありますので、別の記事をご覧になっていただければと思います。
【スモールM&A・事業承継】会社を上手に引き継いでハッピーな老後を

【余談】
諸外国では遺留分の廃止や見直しが議論されるようになってきました。

遺留分というのは、元々子沢山で親が短命だった時代に残された子供のうち下の子供が独り立ちしていないケースでの遺族の生活保障を目的とするという面がありました。
もうひとつは、人間の平等という観点から導入されましたが、一方で基本的な人権である「個人の財産処分の自由を侵害する」という面があり、ドイツでは、遺留分の効力を弱める方向での法改正が検討されました。 フランスでも、日本では認められている被相続人(亡くなった人)の両親の遺留分が廃止されています。

現代のように少子高齢化が進んでいる場合、兄弟が2人か3人、それが面倒を見る人と見ない人と分かれることになります。
しかし、面倒を全くみない人にも法律で強制的に財産を分配させるというのは果たして正義でしょうか?

正直なところ、今の相続法は、悪法とまでは言い切れないものの、時代に合わない不十分な面を多く抱えています。

法が十分な機能を果たさない以上、ここをきちんと対策するのは子供ではなく親の責任です。

この記事をご覧になっているのが親世代の方であればご自分のこととして受け止めていただき、子供世代の方であれば、そうしたことを親御さんにきちんと理解していただくことが本当の意味での親孝行につながると思います。